4月5月は春の学校歯科健診の時期です。
学校歯科健診で虫歯なしの結果をもらって安心して、歯科医院の定期健診を受けない方がたまにいますが、学校健診では十分な虫歯の診断ができないことをご存知でしょうか?
歯科医院での定期健診ではどのように虫歯の診断をするかですが、
まず姿勢ですが、歯科用チェアーを水平にしてお口の中を十分のぞきこめるようにします。次に口腔内だけを明るいライトで照らしてしっかり観察できる体制で診査します。
もし歯垢や歯石で歯の表面が確認できないときは虫歯があるかどうか見えませんから、先に歯石をとって歯のクリーニングをしてから診査します。
クリーニングしても、歯の間の初期の虫歯は視診では見えませんので定期的にX線で歯間部のチェックをします。
さらには歯の溝の着色が虫歯か着色か迷うときは、診断用レーザーで脱灰度の検査が必要なこともあります。
こうしてようやく精度の高い虫歯の診断ができるのです。
しかし、学校歯科健診ではどうでしょうか。
子供は椅子に座ってお口を開けてもらいますが、水平位の場合とくらべて十分お口の中を観察できません。
また、使用するライトも歯科用のものではなく光量が不十分で歯の奥の方は非常に見えにくいです。
また歯の間とか歯の咬む面の溝とかが虫歯になりやすいところですが、そういうところほど歯垢や歯石が残っていて、学校健診では十分に歯の表面が確認できず、そういう場合は虫歯なしに判定されてしまいます。
このような悪条件のなかで短時間に診査するわけなので学校歯科健診では正確な診断はできないと断言できます。
しかし、健診に意味はないかというとそうではなく、ある程度大きい虫歯や視診で確認できる虫歯はしっかりチェックできますので、感度は低いですがスクリーニング的な意味はあると思います。
保護者の皆さんにお願いしたいことは、学校歯科健診の結果にかかわらず是非歯科医院にて定期健診を受けてほしいということです。
学校健診にはほかにもいろいろ課題があります。また書きたいと思います。
院長
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