当院にいらっしゃる患者さんの中には介護付有料老人ホームから車いすで介助を受けて受診される方もいます。
先日受診したBさんも歩行困難で車いすでいらっしゃいました。お口の中をみると残っている歯は17本、部分入れ歯を使用しています。かなり痩せていて、食事をお聞きすると軟らかい食形態のようです。おかずを残すこともよくあるとのことでした。
歯が悪いために十分に咬むことができない場合、軟食を好むようになり、炭水化物中心の食事になる人を多く経験します。肉魚等タンパク質の摂取は不足し、また野菜不足によりビタミン、ミネラルが不足し、栄養不足のため痩せて、筋肉量が落ち、歩行困難等の問題につながり、さらには咬んだり、飲み込んだりする能力も低下し、胃腸の消化吸収の機能も衰えることにより、さらに栄養不足が進行するという負のスパイラルとなります。
以下のような報告もあります。
残っている歯の本数(残存歯) が 19 本以下の場合、
男性では痩せのリスクが約 1.5 倍 、
男女ともに、最近6か月以内の体重減少のリスクが約 1.2 倍
高齢期の痩せ予防のために、定期的な歯科健診や歯の治療など適切な口腔ケア、そ して調理法を工夫した食事などが必要です。
(上記プレスリリースより引用)
このような場合には、まずしっかり咬める入れ歯を作り、口腔ケア、口腔のリハビリをして、お口からしっかり咬んで食べられるようになると、栄養も足りてきて少しずつ回復して元気になります。
またこのような状況を回避するためには、まずは歯を失わないことなのですが、そのためには子供のころからの定期的な歯科での健診が必須と私は考えます。健診の際にお口の中の問題点がないかしっかりとご自分で理解すること、そして問題点があればその解決法のアドバイスを受け、それを実践すること。この繰り返しで、健康なお口を獲得しましょう。
さらにはそれが全身の健康にもつながるのです。
院長
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