歯の本数が少ないと医科の医療費が余分にかかる ということがわかりました。
これまでも、歯の数と全身の健康状態との関係については多くの研究機関から報告されていますが、今回、レセプト(医療費の明細情報)をもとにしたビックデータの分析で以下の報告がありました。
現在歯数20本以上の人と、19本以下の人に分類し、医科総点数(入院、外来、DPC、調剤)の合計点を、性別、年齢群に分けて比較した。
その結果、一か月の医科医療費は、歯数19本以下の人が20本以上の人と比較し有意に高いことが明らかになった(男性85歳以上、女性80歳以上を除く)
また、若い年齢ほどその傾向が顕著であり、40~44歳における差が最も大きく1.2~1.3倍であった。(日歯総研研究報告より)
簡単にいうと、表題のように”歯の本数が少ないと医療費が余分にかかる”ということです。
歯の本数が少ない場合、十分に咀嚼できないため軟らかい食べ物を好み炭水化物の摂取が増えます。また、咬みごたえのある肉類や、野菜類の摂取が減りタンパク質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素が不足し、生活習慣病にもなりやすいと考えられます。
また歯の本数が少ない人は、歯周病や虫歯によって歯を失っていることが考えられますが、こういう方のお口の中の細菌を調べてみると歯周病菌、虫歯菌が多く存在することが分かっています。
これら為害性のある細菌は歯周病、虫歯の原因になるだけではなく、歯周ポケットの中の毛細血管から全身に運ばれて糖尿病、動脈硬化、認知症などに関係したり、嚥下機能の衰えた高齢者では誤嚥性肺炎の原因になることもわかっています。
我々歯科医療従事者には意識改革が迫られています。
歯医者の仕事は”虫歯をなおしたり、入れ歯をつくる”という昔の考え方から、”虫歯や歯周病を予防してお口から栄養を十分摂れるようにすること、また口内フローラのコントロールを通じて全身の健康増進に寄与する”というあらたな目標設定が必要と考えます。
当院では、これを目標にスタッフ一同努力しております。
院長
最新記事 by 院長 (全て見る)
- 学校歯科健診で歯の健康は守れるか? - 2017年4月1日
- 歯科から全身の健康を手に入れる! - 2017年2月11日
- 犬の歯の健康 - 2017年2月3日